2025年11月10日に「日本語でMeet the PCST ― 日本の科学コミュニケーションを世界へ」を開催しました。当日話された内容について、概要を紹介します。
(なお、この記事は生成AIを用いて簡易的にまとめたものです。)
<イベント概要>
主催:科学コミュニケーション研究会
共催:北海道大学CoSTEP
司会:和田濵 裕之(科学コミュニケーション研究会 代表/京都大学 iPS細胞研究所)
日時:2025年11月10日(月)13:30〜18:30頃
場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター 多目的スペース + オンライン
目的:日本の多様な科学コミュニケーション実践を日本語で紹介し、国際学会PCST(Public Communication of Science and Technology)との連携を深める。
発表数:27件
参加者:国内外 約140名
■ コメンテーター
Fabien Medvecky 氏、Massimiano Bucchi 氏、Anne Dijkstra 氏、Ayelet Baram-Tsabari 氏、Sook-kyoung CHO 氏、Jinwoong SONG 氏
(オーストラリア国立大学 准教授/PCST会長)
主な発言要旨:
PCST(Public Communication of Science and Technology)は1989年にフランスで始まり、今では国際的な科学コミュニケーションのネットワークに発展した。
近年、アジア地域からの関与が顕著に高まっており、次回のPCST国際会議は上海で開催予定。
「日本語で科学コミュニケーションを発信する」という本イベントの試みは非常に意義深い。
英語が世界の“共通語”となりがちな現状で、多様な言語・文化の中で科学が語られることが重要。
「英語を使わなくても科学を伝える多様な声を聴くことは、世界の科学コミュニケーションにとって新鮮で貴重な経験です。」
(トレント大学 教授/ジャーナル Public Understanding of Science 元編集長)
主な発言要旨:
2000年代初頭に日本を訪問し、科学コミュニケーションの発展を間近で見てきた。
当時と比べ、現在の日本の科学コミュニケーションは量・質ともに大きく進歩している。
科学を社会に伝えるだけでなく、社会と科学の関係を再構築する活動が広がっている点を高く評価。
「日本の科学コミュニケーションは成熟期に入りつつある。国際的な交流をさらに深めていく時期に来ている。」
(オランダ・トウェンテ大学 准教授/PCST国際委員)
主な発言要旨:
PCSTの国際運営委員として、日本が積極的に発信することを歓迎する。
日本の科学コミュニケーションの事例を“日本語で”聴けることは貴重。
言語の壁を越えて、日本独自の文化的・社会的背景を理解することが重要。
自身は「科学と社会の相互信頼の構築」に関心を持ち、日本の活動がその実例になると感じている。
「科学コミュニケーションは単に“伝える”ことではなく、社会との信頼を築く行為です。」
(イスラエル工科大学 教授/ジャーナル Science Communication 副編集長)
主な発言要旨:
科学コミュニケーション研究は英語圏中心で語られることが多く、他言語圏の活動を知る機会は限られている。
日本は2010年代以降、理論・実践の両面で世界的に注目されている。
科学教育・コミュニケーション・ジャーナリズムの統合的アプローチが進んでおり、学ぶ点が多い。
「英語以外の言語で行われる科学コミュニケーションは、私たちの視野を広げてくれます。」
(韓国エネルギー技術研究所 教授/PCST元会長)
主な発言要旨:
2002年からPCSTに参加し、20年以上日本の活動を見守ってきた。
日本の科学コミュニケーションは研究・実践の両面で“強い存在感”を持つ。
今後はアジアの隣国として、韓国・日本が連携し、地域から世界へ発信していくべき。
「日本の科学コミュニケーションは世界に誇れる水準にあります。今こそアジアとして声を上げるときです。」
(ソウル国立大学 教授)
主な発言要旨:
科学教育と科学コミュニケーションは密接に関係しており、価値観や文化の理解が不可欠。
科学は普遍的なものであると同時に、地域文化に根ざした営みでもある。
東アジアの文化的文脈を踏まえた科学コミュニケーション研究の発展を期待。
「科学を伝えることは、文化と価値を共有することです。日本の活動はその好例です。」
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🔸発表1 関本 一樹・日下 葵〔科学技術振興機構 (JST) 〕テーマ :「科学技術の社会実装を促す発信と対話」JSTによる科学コミュニケーション活動を紹介。
科学情報サイト「Science Portal」運営:中立的報道、Yahoo!ニュースにも転載。
STEAM情報サイト「サイエンスティーム」運営:学校現場向け教材配信。
「サイエンスインパクトラボ」:研究者が市民・企業等との対話を通じ、社会実装プランを協働により練る。
ムーンショット事業のELSI支援:横断的ELSI支援体制を構築。質問:社会実装において、どのようなステークホルダーを招いているのか。回答:研究者の意向に寄り添いながら、NPOとの協働で選定。科学コミュニケーターが伴走し、議論を深める仕組みを整えてきた。 -
🔸発表2 岩澤 大地〔日本科学未来館〕テーマ :「科学館が“対話の場”となるために」未来館の活動を紹介。
ミッション「あなたとともに「未来」をつくるプラットフォーム」
常設展示の刷新:量子・老い・環境・宇宙など。
約30〜50人の科学コミュニケーターが常駐し、展示フロアでの来館者との対話や企画制作をおこなう。
視覚障害者向けの体験設計やAIスーツケースの開発など、館内のアクセシビリティにも注力。質問:ASIMOは今どうなっているのか。回答:ASIMOは卒業したが、その活動記録を展示や教育に継承している。質問:科学に関心のない層をどのように呼び込んでいるか。回答:方法の一つとして、人気キャラクターなどとコラボレーションした特別展を開催することで、普段の生活で科学的なトピックに関心が薄い層が未来館に来館するきっかけを提供している。 -
🔸発表3 黒ラブ教授〔日本科学振興協会(JAAS)/芸人〕テーマ :「日本科学振興協会JAASの紹介と笑いで理科嫌いを変える科学コミュニケーションの紹介」日本科学振興協会では、研究環境改善や博士人材支援など推進。省庁政治家との日頃からの対話を実践。黒ラブ教授としては、理科嫌い層向けに、笑いを交えた科学ライブを実践。質問:観客からどのような反応があるか。回答:「理科が楽しいと感じた」「科学が身近に思えた」という声が多い。笑いは科学への心理的ハードルを下げる手法として有効。
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🔸発表4 奥本 素子〔北海道大学 CoSTEP〕テーマ :「オープンアクセス誌『JJSC』の挑戦」日本初の科学コミュニケーション学術誌「Japanese Journal of Science Communication」を紹介。査読付き・オープンアクセスで、実践報告“ノート”部門が人気。ボランティア編集体制による遅延や財政面の課題を抱える。質問:日本語圏における語彙や用語の整理は進んでいるか。回答:実践者と研究者の間に言語的なギャップがある。共通語彙の整備が今後の課題。質問:国際誌との関係はどのように考えているか。回答:特集号では日本固有の課題を扱いつつ、海外誌との交流も積極的に模索している。
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🔸発表5 原 塑〔東北大学〕・水島 希〔叡啓大学〕・東島 仁〔千葉大学〕テーマ :「市民科学・当事者研究・PPIの交点」STS学会誌での特集を基に、市民科学と当事者研究、PPIの特徴を分析。日本の市民科学は社会運動的性格を持ち、専門家と市民の協働の新形態を模索中。質問:市民科学と専門家批判や陰謀論との違いは。回答:専門家への批判が生産的であれば意義があるが、研究搾取のリスクを避ける仕組みも必要。
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🔸発表6 小出 重幸〔日本科学技術ジャーナリスト会議〕テーマ :「科学報道のネットワークとその使命」科学報道者の育成と交流。科学ジャーナリスト塾や賞を運営。国際連盟との協働や、パンデミック報道に関する提言も実施。質問:科学報道の収益モデルが崩れる中、どう持続させるか。回答:ニュースは現場取材が原点。取材者の価値を社会が理解することが重要。質問:社会課題に対し、解決提案をする報道は可能か。回答:報道は政策を決める立場ではないが、社会を建設的に導く報道姿勢が必要。
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🔸発表7 今羽右左 デイヴィッド 甫〔JACST〕テーマ :「日本の科学広報者ネットワーク JACSTの活動」300名超の科学広報担当者を結ぶ国内ネットワーク。科学メディアとの交流会や広報研修を実施。ノーベル賞広報の裏側も紹介。質問:国内外の報道対応に違いはあるか。回答:国内は政策や教育的文脈を重視、海外は科学そのものへの関心が強い。質問:日本にノーベル賞受賞者が多い理由は。回答:自由な基礎研究を尊重する文化が創造を生みやすい。
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🔸発表8 中村 達郎〔日本サイエンスコミュニケーション協会〕テーマ :「科学が応援される社会を目指して」400名規模の全国団体。交流・研究助成・講座を運営。会長である羽村氏の言葉「科学が応援される社会をめざす」理念:「科学技術をめぐる問題に主体的に関与できる社会を実現する」。質問:教育と科学コミュニケーションの関係をどう捉えているか。回答:知識伝達だけでなく、科学を自分の問題として考える意識を育てる点で両者は重なる。
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🔸発表9 小川 達也〔国立科学博物館〕テーマ :「国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座のこれまで」2006年開始。年間で2つのカリキュラムを通じて、コミュニケーション能力(SC1)・コーディネーション能力(SC2)を育成。SC1の修了者399名、SC2まで修了した「国立科学博物館認定コミュニケータ」179名。質問:講座では科学史や哲学も扱うか。回答:一部扱うが、実践重視のカリキュラムが中心。博物館の特性を活かした構成。
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🔸発表10 早船 真広〔国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座 修了生組織 科博SCA〕テーマ :「修了生ネットワークによる継続的活動」同窓会組織 科博SCAを運営。会員間交流や広報誌発行など、“つながり”を中心に据える。
また、他団体とのイベント共催や助成支援などを通して、会員のSC活動の機会提供やサポートも実施。質問:修了生の活動率はどの程度か。回答:年1回の総会には約8分の1が参加。約400名の会員が再参加しやすい環境を維持している。 -
🔸発表11 小林 俊哉〔九州大学〕テーマ :「研究倫理教育としての科学コミュニケーション」大学院教育で“STSステートメント”を作成。研究の社会的影響を自ら分析し、市民に発表。サイエンスカフェやJSTサイエンスアゴラで実践。質問:教材の国際公開予定はあるか。回答:英訳して公開を予定している。質問:教育ではどんな事例を扱うのか。回答:過去の公害やフロン問題など、科学技術の負の影響を学ぶ。
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🔸発表12 森田 泰暢〔福岡大学〕テーマ :「シチズンサイエンス研究センターの設立」商学部内に国内初の専門センターを設立。プラットフォーム「コラボフィールド」を開発し、参加型研究を支援。質問:科学に関心のない層をどう巻き込むか。回答:アニメや企業CSRなど、楽しさを入口に広げる。質問:今後の展望は。回答:探究文化を根付かせ、国内外のネットワークを拡張したい。
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🔸発表13 古澤 輝由〔立教大学〕テーマ :「理学部から社会へ ― サイエンスを共有する教育」授業・PBL教育を通じ、学生がカフェ・ゲームを企画。地域と協働して教材を開発・共有。質問:教育活動の中で重視している点は。回答:科学を「笑って考える」文化に転換すること。教育とエンタメを融合し、学生の参加意欲を高めている。
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🔸発表14 近藤 孝樹〔東京理科大学〕テーマ :「2026年新設・科学コミュニケーション学科」数理・理科、情報・データサイエンス、科学コミュニケーションの3分野を基盤とした学びを提供し、理科・数学・情報の教員免許も取得可能予定。 科学理解・対話・信頼構築・意思決定支援の4本柱を軸に、科学と社会をつなぐ人材を育成。質問:他大学との違いは何か。回答:理学的専門知と伝える力を4年間で並行育成する点に特色。質問:聴衆理解をどう教えるか。回答:市民イベント参加など、実体験を重視している。
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🔸発表15 大崎 章弘〔お茶の水女子大学〕テーマ :「災害時・不登校支援のための理科教育」災害で理科授業が止まる問題に対応。100円ショップ素材で教材を開発し、全国で共有。郵送実験キットを通じて家庭学習も支援。質問:教師への研修やサポートは行っているか。回答:現地教員ネットワークを育成し、ノウハウを共有している。
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🔸発表16 平川 秀幸〔大阪大学〕テーマ :「公共圏のための科学技術教育研究拠点 STiPS」京大と連携し、文理融合の大学院教育を展開。科学哲学・倫理・政策形成を含む科目群を設置。ワークショップを通じ、学生が市民と対話する経験を重視。質問:修了生はどのような進路に進んでいるか。回答:企業や政策機関、シンクタンクなど社会的領域で活躍している。
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🔸発表17 沼田 翔二朗〔北海道大学 CoSTEP〕テーマ :「20年の蓄積と修了生アンケート分析」修了生134名を調査。満足度4.5/5。半数が有償活動、85%が今後も継続意欲あり。活動の鍵は「経験量」と「対人スキル」。質問:今後の展望は。回答:教育機関に加え、修了生が次の担い手を育てる“実践支援型プラットフォーム”へ発展を目指す。
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🔸発表18 内田 麻理香〔東京大学〕テーマ :「欠如モデル再考 ― 態度としての科学コミュニケーション」「一方向/双方向」というコミュニケーションの方向性ではなく、相手の合理性を認めるか否かが本質。相手の文脈を尊重する一方向は問題ない。質問:分類はマインドセットによって変わるか。回答:その通り。説得的な対話でも、相手の文脈を尊重すれば非欠如モデルとなりうる。
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🔸発表19 標葉 靖子〔実践女子大学〕テーマ :「“文系”学生によるシリアスゲーム制作」文系学生が「科学技術と社会」をテーマとする対話型ゲームを制作。制作過程で“科学は自分と無関係ではない”という気づきが生まれる。質問:教育プログラムの強みと弱みは。回答:創造活動が「科学技術と社会」への関心喚起や学習意欲の促進になる一方、基礎的知識の獲得支援や議論のファシリテートをする教員の存在が重要。
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🔸発表20 神宮 里江〔科学技術振興機構 (JST) 〕テーマ :「動画シリーズ『これからヒーロー!』による科学発信」
JSTが制作するYouTube動画「これからヒーロー!」を紹介。
クレイアニメとコメディを交え、研究成果を物語化。
中高生を主対象に、科学の楽しさと社会的意義を伝える。
例:気象制御、ナノマシン、培養肉などを題材に、粘土キャラクターが科学的解説を展開。質問:視聴者層の分析や反応の把握はできているか。回答:学校協力によるアンケートでは好反応(9割以上が「面白い」「理解できた」)。今後はYouTubeに自然流入する視聴者層の傾向をデータで把握し、発信を広げたい。 -
🔸発表21 高梨 直紘〔天プラ〕テーマ :「天文学と社会の関係を再設計する」趣味から始まった市民天文活動。年間100件以上のイベントを開催。教材「一家に1枚宇宙図」を作成し、企業・行政研修にも展開。質問:若手への助言は。回答:楽しみながら継続することが最大の原動力。好奇心を維持する環境を社会に広げたい。
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🔸発表22 本田 隆行〔科学コミュニケーター/フリーランス〕テーマ :「組織の外から、社会と科学をつなぐ」地域密着の科学講座、ミュージアムの展示企画支援、科学に触れる体験プログラム設計など手法、分野、連携先を問わず多様に活動。科学コミュニケーターの立ち位置を“社会とつなぐケアワーカー”と捉える。質問:独立系ネットワークは存在するか。回答:まだ確立していない。分野横断的な連携を今後ますます広げたい。
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🔸発表23 羽村 太雅〔手作り科学館Exedra〕テーマ :「古アパートから生まれた小さな科学館」DIYで改修した市民科学館を運営。年間1600人が来館。ジュニア研究部や自然体験など、探究型活動を推進。質問:学校教育との関係をどう考えているか。回答:学校とは異なる自由な学びの場として、互いを補完し合う関係を築いている。
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🔸発表24 藤田 大悟〔株式会社リバネス〕テーマ :「科学と社会を橋渡しするビジネス」サイエンスブリッジコミュニケーションの理念を掲げ、教育・研究・起業を連動。中高生研究大会「サイエンスキャッスル」などを展開。質問:AI時代における科学コミュニケーションの価値は。回答:AIでは代替できない“共感の橋渡し”を担うことが人の役割。
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🔸発表25 野口 範子〔同志社大学〕テーマ :「文理融合の科学コミュニケーター養成」学生が文理を横断して科学と社会を学ぶ副専攻を設立。桝太一・元村由紀子らを専任教員に招聘。企業協賛の大学院コース新設へ拡張。質問:持続可能な運営のために必要なことは。回答:後継者育成と企業支援を確保し、継続的な体制整備。
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🔸発表26 三ツ村 崇志〔Business Insider Japan〕テーマ :「科学報道の現場でみた、科学コミュニケーターのキャリア」理系出身編集者として、科学と経済をつなぐ報道を実践。『Newton』編集経験を経て、テクノロジーの社会的意義を語る記事を発信。質問:良質な科学報道とは何か。回答:単なる“翻訳”ではなく、科学が社会をどう変えるかを物語として伝えること。
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🔸発表27 和田濵 裕之〔科学コミュニケーション研究会〕テーマ :「緩やかなつながりの場としての研究会」2010年設立。月例ランチ勉強会などを開催(延べ14回)。参加者が自由に話し合い、互いの活動を知る交流の場を提供。質問:設立のきっかけは。回答:京都大学の仲間たちの偶然の出会いから始まり、緩やかな連携を続けている。
本会を総括。
「日本の科学コミュニケーションは、教育・研究・市民活動・メディアの多様な形で発展している。それぞれの取り組みが相互に学び合い、連携し続けることが未来を拓く。」
🌟 総括
領域の多様化 :教育・報道・市民科学・エンタメまで幅広い。
共通理念 :「科学を社会と共に育てる」
主要課題 :持続性、人材育成、国際発信の不足。
展望 :「科学が応援される社会」へ、組織を超えた連携を。
日本語による国際発信の意義を説明。
「英語が主流の国際会議に、日本語の現場をそのまま届けることに挑戦したい」UDトークによる自動翻訳を活用し、国際参加者も内容を理解できる環境を整備。日本の科学コミュニケーション活動の幅を世界に共有することを目指した。