第12回年次大会(2015年9月13日開催)



[第12回科学コミュニケーション研究会 年次大会のご案内]

(更新履歴)
2015/07/30 年会開催の案内を掲載しました
2015/09/02 一般講演のタイトルと概要を公開しました

テーマ:「研究施設と地域社会」
日 程:2015年9月13日(日)10:00-18:00
場 所:国立天文台 三鷹キャンパス すばる棟 大セミナー室(東京都三鷹市)
担 当:高梨直紘、横山広美(東京大学)
主 催:科学コミュニケーション研究会
後 援:科学技術広報研究会、天文教育普及研究会
協 力:国立天文台

※本シンポジウムは以下の支援を受けて開催しております。
「大型科学のリスクとコミュニケーション、そしてガバナンス」
科学研究費補助金 基盤C 代表研究者:横山広美

■ 開催趣旨

科学・技術の発展のためには、それを支える研究施設が欠かせません。日本をはじめ、世界各地には観測や実験を行うための研究施設がありますが、地域の社会や文化の一部となって運用されている施設もある一方で、さまざまな理由から、その受け入れにトラブルを伴う施設も少なくありません。そこで、本年度の年会では「研究施設と地域社会」をテーマにいくつかの事例を参考に両者の関係を整理して俯瞰し、望ましい対話のあり方等について議論を深めたいと思います。

■ 参加方法

事前登録制です。以下のサイトよりお申し込みください。
http://goo.gl/forms/6U5Y9OpcTD
なお、参加費は無料です。

※席に余裕がある場合は、当日参加も受け付けます。

■ 招待講師

調 漸 氏(長崎大学 教授 / 学長特別補佐 副学長)
北村 正晴 氏(東北大学 名誉教授)
阪本 成一 氏(国立天文台 教授)
臼田 知史 氏(国立天文台 教授)

■ スケジュール

10:00-10:15 趣旨説明(横山広美)
10:15-12:00 一般事例紹介(12分講演+3分質疑)
       10:15-10:30 川越至桜(東京大学)
       10:30-10:45 鈴木裕行(筑波大学)
       10:45-11:00 小林弘(総研大)
       11:00-11:15 黒木彩香(柏の葉サイエンスエデュケーションラボ)
       11:15-11:30 内藤誠一郎(国立天文台)
       11:30-11:45 浅見奈緒子(日本教育大学院大学)
       11:45-12:00 山崎隆
12:00-13:30 昼食 ※希望者は天文台の施設見学を予定(12:30-13:15)
13:30-14:10 招待講演1(40分)調 漸 氏
14:10-14:50 招待講演2(40分)北村 正晴 氏
14:50-15:00 休憩
15:00-15:30 招待講演3(30分)阪本 成一 氏
15:30-16:00 招待講演4(30分)臼田 知史 氏
16:00-18:00 総合討論

■ 招待講演 概要

講演1 調 漸 氏
[タイトル]

長崎大学のBSL4設置、この5年間の経緯と最近の展開-住民の合意とは何か-
[概要]
背景と経緯
1)国立大学は第3期中期計画を目前して強味の強化、弱みの縮小や改革を迫られており、本学は熱帯医学、感染症と放射線災害、放射線後障害に強味
2)BSL4設置の5年間の取り組みは昨年までは学術会議、文科省への折衝が中心
3)平成26年12月大学が長崎市議会へ請願、県議会へ要望、圧倒的多数で可決
4)平成27年5月近隣3自治会が反対表明(後に1自治会は脱落)
5)平成27年6月17日県、市とBSL4設置に向けて基本協定締結
6)7月16日やや離れた13自治会が反対表明
7)7月27日有識者会議の中間報告
8)以上の経過報告に加えて我々が考える「住民合意」「今後の展開」について若干の考察を加えたい
[プロフィール]
調 漸(しらべ すすむ)。昭和30年生まれ。長崎市出身、医学部敷地隣接地に1歳から現在まで在住。県立西高等学校から熊本大学医学部卒後、長崎大学医学部第一内科入局、研修医、次いで大学院。平成14年第一内科助教授を経て、平成17年へき地病院再生支援・教育機構を創設、教授。平成20年から理事、副学長、平成26年学長特別補佐、副学長でBSL4設置推進の担当。

講演2 北村 正晴 氏
[タイトル]

不安・不信の時代の対話実践
[概要]
現代社会は科学技術に強く依存している。しかし一方で市民の多くは科学技術の負の側面を不安に感じている。科学技術システムの故障や事故に加えて、システムの運用を担う組織の反倫理的行動やガバナンスの欠如が明らかになる事態も多く、市民は不信を感じ、その不信が不安をさらに増幅している。この市民側の不安と不信に対して、技術専門家は真摯な対応が求められている。本講演では、講演者が原子力施設の立地地域住民を対象として複数の地域で実施してきた対話活動の概要とそこからの知見を紹介する。不安と不信を乗りこえるという重い課題に向き合うための試行例としてお聞きいただければ幸いである。
[プロフィール]
東北大学工学部・工学研究科にて1970年から2005年まで原子核工学の教育・研究に従事.2002年9月より,原子力施設立地地域において住民との反復型対話活動を継続的に実施.2005年3月定年退職、東北大学名誉教授。その後も東北大学未来科学技術共同研究センター客員教授として当該活動を継続するとともに、安全の新しい方法論であるレジリエンスエンジニアリングの研究を推進。2012年、株式会社テムス研究所を設立、代表取締役所長。

講演3 阪本 成一 氏
[タイトル]

JAXA宇宙科学研究所と国立天文台チリ観測所における地域連携
[概要]
ロケットの打ち上げの際には、保安のためにブースター等の落下地点に船舶が立ち入らないように、漁業者との事前の協議(漁業対策)が必要である。また、研究所において、地元の理解を得ることは、単に事故等の際の危機対応という観点のみならず、外部の応援団を組織するという意味で広報戦略を手厚いものにもする。漁業対策やチリとの用地交渉、近隣自治体(相模原市、能代市、鹿児島県、国分寺市など)との地域連携について、私が関わってきた事例を紹介する。
[プロフィール]
国立天文台チリ観測所・教授。1965年、東京都出身。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は電波天文学と科学コミュニケーション。国立天文台助手・助教授を経て、前任のJAXA宇宙科学研究所では小惑星探査機「はやぶさ」や月周回衛星「かぐや」などの宇宙科学研究の広報普及と地域連携を統括。ロケット打ち上げのための漁業対策や、相模原市をはじめとする関連自治体との連携を進める。2014年8月からは国立天文台に戻り、世界最大の電波望遠鏡“ALMA”の日本担当分装置保守の統括を務めている。

講演4 臼田 知史 氏
[タイトル]

ハワイ観測所における地元での活動と、TMT望遠鏡建設の現状
[概要]
すばる望遠鏡は、米国ハワイ島の標高4205mのマウナケア山頂に建設された口径8.2mの大型光学赤外線望遠鏡である。マウナケア山頂で新たに建設が始まったTMT望遠鏡は、口径30mの超大型光学赤外線望遠鏡で、日本がアメリカ・カナダ・中国・インドとの国際協力で推進している。1992年にマウナケア山頂ですばる望遠鏡の建設が開始され、国立天文台職員がヒロ市に長期滞在するようになり、続いて1997年4月にハワイ観測所が設置され、現在では約40名の日本人を含む約100名の職員がハワイ観測所に勤務している。現地では、学校やクラブ、自治体や近隣観測所などと、公私にわたる交流が盛んである。本講演ではハワイ観測所における地元での活動と、TMT望遠鏡建設の現状について報告する。
[プロフィール]
臼田知史(うすだとものり)。国立天文台TMT推進室教授。1968年、長野県出身。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は観測天文学。1998年から2013年まで国立天文台ハワイ観測所に勤務。2013年に三鷹に異動し、2014年よりTMT推進室の室長。

■ 一般講演概要

一般講演1 川越 至桜(東京大学)
[タイトル]

最先端研究を取り入れた産学連携における科学技術コミュニケーション
[概要]
科学技術の社会的な意義や役割を理解することは理科を学ぶ上で重要である。そこで本研究では、科学技術に基づいた製品開発などを通して社会との接点を有する産業界と連携し、新しい教育活動・科学技術コミュニケーション活動の研究開発と、その効果の検証を目的としている。今回は、東京大学生産技術研究所(東大生研)で行われている研究を題材とし、東大生研の次世代育成オフィスが中心となり実施した産学連携出張授業について報告する。そして、科学技術の社会的意義や役割を理解するためには、どのような取り組みが必要なのかについて議論する。

一般講演2 鈴木 裕行(筑波大学)
[タイトル]

星空や宇宙を用いた病院におけるコミュニケーションの可能性
[概要]
我々は「星空」や「宇宙」をテーマとし、つくば市を中心に社会貢献活動を行っているグループを作っており、理学の学生だけでなく工学や芸術、看護、医学といった多くの分野の学生にて構成されている。現在は病院を中心に活動を展開しており、患者さんや職員さんと宇宙を媒介に直接コミュニケーションを取ることで、癒やしを提供する事を目的として諸活動を行っている。筑波大学附属病院では、現在まで、天体観望会、星空のお話会、七夕をテーマとした院内のお祭りなど様々なイベントを開いてきた。多くの患者さんや職員さんに楽しんでもらい、活動の重要性を認識してきた。本講演では、諸イベントの実施報告に加え、病院以外での活動の報告や7 月に筑波大学附属病院にて行った「七夕星まつり」の実施報告も行う。

一般講演3 小林 弘(総合研究大学院大学)
[タイトル]

若い女性にいかにアプローチするか
[概要]
将来母親として育児する、また実際に育児をしている女性の、研究やその分野への印象は、少なからずその子にも影響を与えると考えられます。つまり、研究と社会を結びつけていく上で、若い女性へのアプローチは切り口のひとつとして重要です。そこで本講演では、若い女性をターゲットとした星や宇宙がテーマの一般普及の例を紹介します。

一般講演4 黒木 彩香(柏の葉サイエンスエデュケーションラボ)
[タイトル]

柏の葉における「街まるごと科学館 Exedra」の取り組み
[概要]
柏の葉における「街まるごと科学館 Exedra」の取り組み 大学や研究施設の多い千葉県柏の葉地域で学生・研究者等を含む街の人々の交流の場を作る活動をしている柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)では、街全体を科学館に見立てて展示物を配置する「街まるごと科学館 Exedra」という企画を始めた。今年6月から9月までで2本の企画展を実施した「Exedra」の設立の経緯や内容、反響について、本講演ではこれまでのKSELの活動の紹介を交えて報告する。

一般講演5 内藤 誠一郎(国立天文台)
[タイトル]

国立天文台科学文化形成ユニットの取り組み(仮題)
[概要]
(準備中)

一般講演6 浅見 奈緒子(日本教育大学院大学)
[タイトル]

科学コミュニケーションの新たな可能性を探る試み~天文学と茶道~
[概要]
近年、科学コミュニケーション分野ではさまざまな対話活動が行われている。異分野のコラボレーションは、互いの分野の理解を深め、両者の新たな関係を創造していると言える。今回、私たちはこのふたつの視点の組み合わせとして「天文学」と「茶道」を選択し、それに基づいて実際にイベントを2回開催した。その結果等を報告し、科学(天文学)普及の観点からその意義を明らかにし、その評価方法についても、議論したい。

一般講演7 山崎 隆
[タイトル]

疎外を否定、思いやりの心を育む「デルス・ウザラ運動」~最先端プロジェクトはオープン化に向かう~
[概要]
「思いやりの心を育むために、国境や民族を越えた世界中のみんなが力を合わせて、火星に人類初の惑星リゾートをつくる」
リゾートとは、笑顔とおもてなしの空間です。そのような空間を世界中の市民が協力してつくる活動を通じて、思いやりの心を育んでいきます。そして、平和、平等、福祉、幸福などをテーマとする最先端のプロジェクトや学習プログラムに、だれでも参加できる仕組みを作り出します。どんなことにも、分け隔てなくみんなが参加できる社会になることで、みんなが等しく「学び、成長する」ことができます。

■ 会場へのアクセス

以下サイトを参考にして下さい。
http://www.nao.ac.jp/access/mitaka/access.html

■ 問い合わせ先

科学コミュニケーション研究会 事務局
info◎scicomsociety.jp



■ 過去の開催情報

2010/03/12 第1回科学コミュニケーション研究会 年次大会@京都大学
2010/07/24 第2回科学コミュニケーション研究会 年次大会@東京大学
2010/11/20 第3回科学コミュニケーション研究会 年次大会@日本科学未来館
2011/09/23-24 第4回科学コミュニケーション研究会 年次大会@東京大学
2011/11/20 第5回科学コミュニケーション研究会 年次大会@日本科学未来館
2012/09/8-9 第6回科学コミュニケーション研究会 年次大会@東京大学
2012/11/11 第7回科学コミュニケーション研究会 年次大会@日本科学未来館
2013/09/29 第8回科学コミュニケーション研究会 年次大会@京都大学総合博物館
2013/11/12 第9回科学コミュニケーション研究会 年次大会@日本科学未来館
2014/09/07 第10回科学コミュニケーション研究会 年次大会@早稲田大学
2014/11/09 第11回科学コミュニケーション研究会 年次大会@日本科学未来館
※過去の年次大会の資料につきましては、「資料」のコーナーにまとめられています。